近年は社会的に禁煙化が進んでおり、屋内で喫煙可能な施設もずいぶん減りました。
そんなご時世ですが家に帰れば世間の目を気にせず思い切り喫煙を楽しむ愛煙家も多いことと思います。
でも、ちょっと待ってください。
その煙、あなたの愛するペットの命をおびやかしているかもしれませんよ!!
こどもや妊婦などにとっての受動喫煙の問題は一般的に浸透してきましたが、動物にどれほど悪影響があるかを意識している人はまだまだ少数です。
今回はたばこが動物に与える影響についてお伝えしたいと思います。
ペットの受動喫煙とは
たばこの煙は2種類に分かれます。
・喫煙者が直接肺に吸い込む主流煙
・たばこの先端から出る副流煙
フィルターを通して吸う主流煙と比べ、副流煙はより多くの有害物質を含んでいます。
この副流煙を吸い込み有害物質を体の中に取り入れることで受動喫煙となります。
たばこの煙は地面に近いところに溜まるため、人間よりも体の小さなペットは受動喫煙の危険が高まってしまうのです。
ペットの3次喫煙とは
3次喫煙という言葉をご存じでしょうか。
たとえば家の中でたばこを吸った場合、副流煙が衣服やカーテンなどに付着します。それらを舐めて有害物質を間接的に取り込んでしまうことで3次喫煙がおこります。
ベランダや換気扇の下で喫煙していたとしても安心はできません。手や髪に付着した有害物質がペットの被毛に移り、それを舐めることでペットの体内に入り込んでしまいます。
たばこを吸った後に換気やニオイに気を使うことはあっても手洗いをする人って意外といませんよね。ましてやカーテンの洗濯や壁の拭き掃除なんてそうそうするものでもありません。3次喫煙の厄介な点は、有害物質を洗い流すまで継続して影響を与えてしまうところなのです。
たばこがペットに与える影響
近年はたばこがペットに与える影響に関しての研究も進んでいます。
動物の種類や体の大きさによってリスクはそれぞれ異なりますが、悪影響を与えるという点は同じです。
犬や猫の場合
たばこの煙含まれている化学物質を吸うことで、鼻腔がんや口腔がん、呼吸器系の疾患やアレルギー、目の感染症などを発症する確率が上がります。
飼い主がヘビースモーカーの場合、悪性リンパ腫を発症するリスクが3倍になるというデータもあります。
犬の場合は鼻が一般的に人間よりも長いため、鼻腔ガンの発生率が高くなります。
また、猫の場合は体も小さく、犬より毛づくろいをすることが多いため3次喫煙のリスクが高まります。
小動物に与える影響
犬猫よりもさらに小さなウサギやハムスター、小鳥などの小動物にもたばこは悪影響を及ぼします。
タールによる呼吸器疾患やニコチン中毒による嘔吐、下痢、神経障害などの症状が出る場合があります。
鳥の場合は特に有害物質に敏感なため、タバコの煙を感知してパニックになってしまう恐れもあります。
体が小さければ小さいほど肺などの器官も小さくなるので当然の結果ですよね。
小さな動物ほど体調変化が分かりにくいので気づいたときには手遅れ…というケースもあり得ない事ではありません。
たばこからペットを守るためにできること
たばこを吸う時は
- ベランダや外に出て吸う
- ペットのいる部屋から離れた場所で吸う
愛煙家にとっては可愛いペットがいる空間でたばこを楽しむのは至福のひと時だと思いますがそこはグッとこらえましょう。
換気扇の下で吸っているから大丈夫と思っていても、換気扇も万能ではありません。ペットが下の空間にたまった有害物質を吸い込んでしまう可能性があるため危険です。
たばこを吸った後は
- 十分な換気をする(屋内で喫煙した場合)
- 喫煙後は必ず手を洗う
- 吸い殻は蓋つきの灰皿へ捨てましょう
たばこを吸い終えたあと手には有害物質や悪臭が付着しているため必ず手を洗ってください。電子たばこの場合も意外と手にニオイなどが残っているので気を付けましょう。
換気をする際は換気扇だけだと不十分なのでできるだけ窓を開けるなどした方が確実です。
また、吸い殻はきちんとフタつきの吸い殻入れに捨てるようにしてください。空き缶などに吸い殻を捨てる方もいますが、万が一倒してしまった際にたばこの成分が溶け出してしまった水をペットが飲んでしまい、中毒などになる恐れもあるので気を付けましょう。
野外での吸い殻のポイ捨ても散歩中の犬などが誤飲する恐れがあるので絶対にやめましょう(そもそもポイ捨て自体ダメですね)
おわりに
ペットにとって最もよい選択はたばこを吸わないことですが、なかなかすぐにやめることは難しいですよね。
動物関係の仕事をしている方の中にも喫煙者は多くいますし、ペットと同じ部屋でたばこを吸う動物好きの方を見ることもあります。
せめて喫煙するときは動物の受動喫煙や3次喫煙のリスクを意識していただき、愛するペットの健康を気遣ってあげてほしいと思います。